美術科 テキスタイルコースDepartment of Fine Arts Textile

[優秀賞]
上關瑞華|解耀
岩手県出身
安達大悟ゼミ
H1800×W6500×D2500mm 綿布、反応染料

人間が熱意を燃やすその姿は美しいです。対象への愛情、情熱、時に見え隠れする荒々しさに私はえもいわれぬ耀きを感じます。平静と安定を望む人間の理性的な毎日に、私は物足りなさを覚え生きてきました。だからこそ、秘められた暑苦しいほどの熱意は私の瞳に美しく映るのです。人間だからこその営みの美しさを、工芸品に荒々しい模様表現として落とし込みます。鑑賞者の胸に熱さを感じさせるような力強い襖作品を目指します。



安達大悟 准教授 評
表現をするとき、最初に理解しなくてはならないことは、人は誰しもオリジナリティで溢れているということだ。彼女の持つ背景も同様である。?
住職の娘として育ち、幼少期から伝統や宗教を身近に感じる機会が多かったことにより、人の生きる意味、生きる実感、生きた痕跡への興味を強くした。彼女は、自身よりも他者の生き様から、それらを感じ取れる一瞬を見出したのだ。燃え上がる人の力を曼荼羅のような緻密性と対称性を持ったデザインに落とし込み、柔らかくも大胆な色彩によって印象的な作品となっている。技術、形態、デザイン、全てにおいて伝統的な要素を多く含んではいるが、なぜか古臭い感じがしない。それは、経験があれば回避してしまうデザインも躊躇なく取り入れたことで、若さ溢れる思い切りの良い表現へとつながったからであろう。工芸というと小さな物を思い浮かべるが、大きな空間を支配することを得意とするテキスタイルらしい視点で襖を選択した点も良い。?
用途性の中に過剰な加飾が施されることで美へとつながる工芸的染織表現の可能性、これからも追い求めてほしい。