歴史遺産学科Department of Historic Heritage

渡邉結羽|農家の女性の働き方についての研究-山形県村山地方の女性農業者を対象として-
山形県出身
松田俊介ゼミ

目 次 研究目的/調査方法/研究結果

 本研究では、以下の3点を明らかにすることを目的としている。第一に、農家の女性はどのように農業を行っているのかを調査し、より働きやすい環境にするための課題等を明らかにする。第二に、かつての農家の女性は農業と家事の過酷な「二重労働」の重い負担を強いられるとされてきたことから、「かつての農業の在り方」と「現代の農業の在り方」を比較し、改善されている点と課題が残されている点を明らかにする。第三に、行政や法人などによって実施されている男女間格差の是正の動きが、農家にどのような変化を促したのかを明らかにする。
 研究方法としては、山形県村山地方在住で20代から50代までの女性農業者8名に対面、またはオンラインでのインタビュー調査を実施した。この調査で得られるデータは山形県内の農業者全ての男女観?農業観を反映したものではなく、あくまで部分的な事例を対象としたケーススタディとして取り上げる。また、女性農業者の働き方に関わる施策、政策等の調査も実施した。  本稿ではインタビュー調査の結果より、「現代の農家の女性の働き方」「家事と農業の二重労働について」「男女間格差是正の動きが与えた影響」の3点について考察した。「家事と農業の二重労働について」では、農作業だけでなく家事においても家庭で協力し合っている様子が伺えた。日常的に気づいた人が家事を行ったり、それぞれが好きなことや得意なことを活かした役割分担をしたりしている家庭が目立つ。しかし、調査からは世代間で状況に差があることも示唆された。また、家族経営協定は、農業だけではなく家庭内でも男女ともに過ごしやすい環境を作っていくために重要な協定であることを再確認した。近年では男女間格差是正の観点から、締結がより強く推進されている。実際の締結事例からは、夫婦や家族で協定内容について話し合い、書面に活字として残す過程が重要であることが伺えた。