美術科 工芸コースDepartment of Fine Arts Crafts

[優秀賞]
舘野亜里紗|Sibelius/Symphony No.2
栃木県出身
佐々木理一ゼミ
ティーポット150×170×130㎜、カップ50×100×75㎜、ソーサー20×150×150㎜ 磁土、顔料、金液、釉薬

クラシック音楽を「聴く」という行為は、それに馴染みが無い人からは難易度が高い行為である。そのため、私が曲から感じたイメージを作品にすることで「見る」だけで各楽章のイメージがわかるようにした。「見る」という難易度の低い行為から曲への興味?関心を引き、展示会場に置いている音響機器で実際に曲を「聴く」。それによってクラシック音楽を楽しみ、曲を聴きながらこの作品でティータイムを楽しんでもらいたい。


佐々木理一 准教授 評
作者は音楽から勇気や希望を抱くことができたことを強く話していました。
この作品は新たな世界観の研究、開発をしているポジティブな挑戦的な作品です。
ティーポット、カップ&ソーサーのデザインし制作することは最も複雑で繊細なことで、その多様な性質を理解し、用途性の調和を克服し、陶磁器においても高度な技術力が必要なテーマです。さらに音楽という時間を取り込んだコンセプトは新鮮で難問と言えます。
陶磁器の成形おいては色泥漿の層の表情を上手く扱っておりそれぞれの性質の基盤になっています。ポットとカップでは二重構造を用いて透かし紋様で独自の表情を成しています。焼成の軟化現象と重力の問題を克服していることにも4年間の学びの力があります。
装飾の荒さや素材のコントロール、デザインのバランスや用途性など難点を言えばまだまだ問題が多い作品ですがそれ以上に魅力的な提案で生活を面白くすることを期待します。