美術科 工芸コースDepartment of Fine Arts Crafts

[優秀賞]
今野賢人|憩いの街並み
山形県出身
佐々木理一ゼミ
2シータータイプ 「500×1000×630」 3シータータイプ 「500×1500×630」 鉄、タモ、アクリル、ウレタン塗料

私はコロナ禍を経験して、人と実際に会って交流することの大切さを実感しました。その経験から、人々が座って集まりたくなるようなキャラクター性のあるベンチを制作しようと思いました。人と建物の関係性から、「集まる」という共通点を見出し、形にしました。ベンチと人々の集まりによって様々な街並みを形成していってほしいと思います。


佐々木理一 准教授 評
「学び」における苦悩と成長が作品の成果に実感できます。
2年生までは感覚的で自由奔放な制作の傾向でしたが、3年の環境の授業で椅子を制作した際に言葉を座面に焼印したデザインに対して思いのほか人からの感謝の声や優しさを実感したそうです。それからは人と人を結ぶ椅子をテーマとして一途に探求し続け、4年生で「集う」というコンセプトを確信し、その椅子シリーズの努力の総集編となります。
鉄板の加工で造形されており、かなり高度な技術を要し質、量ともに見事な仕事をしています。機能性、安全性の設計がされ、また徹底した素材の表情に妥協せずカラーリングにおいても金属の美しさを引き出しています。また北欧の街並みの暮らしが感じられることに着想したデザインから、テーマ、コンセプト、技術がしっかりと融合し、丹念に構築された作品と言えます。
いろいろな人が座ってもらう様子を思い描き、制作に励んだ直向きな優しさが窺われます。