建築?環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

庄子萌香|東鳴子温泉から広がり繋がる観光地 ~7つの泉質を日帰りで楽しめる温泉回遊拠点施設~
宮城県出身
山畑信博ゼミ
2000×1000

 鳴子温泉は宮城県の最北端に位置しており、(図1)のように鳴子温泉?東鳴子温泉?中山平温泉?川渡温泉?鬼首温泉の5つの地域で形成されており、7つの泉質が集まっていることが特徴である。鳴子温泉地域全体の人口の減少率は高く少子高齢が顕著に表れており、公共交通機関の運行本数減少や生活の利便性の低さ、観光入込客数の減少が本地域の主な問題だと考える。本研究では鳴子温泉郷全域の調査を行い、東鳴子温泉を対象敷地に設定し、日帰り観光客増加、現住民の生活の質を向上させること、鳴子温泉郷の歴史と伝統、街並みや風景を守り続けることを最終目的として計画を立てる。住民、小中学生、宿泊観光客、県外の人々の4つの区分に分けてアンケートをとり、自分の考える問題点と照らし合わせて計画を進めた。調査から買い物やリラックスできる場所の少なさから住民の生活のしづらさに繋がっており若者が地元に対して誇りを持てなくなっているのだと考えた。そこで東鳴子温泉を対象敷地として、ローカルスーパー、温泉回遊拠点施設を提案する(図2)。鳴子温泉は硫黄濃度が高い為、スーパーなどに使用されている機械が錆びてしまい新鮮な肉、魚を取り扱うことが難しくなってしまった。そこで硫黄濃度の低い東鳴子温泉に小さなスーパーを配置することで地域の人が手軽に新鮮な食材を購入することが可能になる。拠点施設では地域の特徴である7つの泉質を足湯?手湯?顔湯を通して体験することが出来る場となっている(図3)。施設で体験し、気に入った泉質を扱っている温浴施設へ観光客を促すことで地域全体の売上向上を目的としている。浴場のように服を脱いで全身を浸かるわけではないので、身だしなみも崩れず、手軽に体験することが出来る。また、鳴子温泉ではやりたいことが出来ないという声があった為、計画敷地内にフリーテナントを設け、夢を施設でサポートし応援する。新しく住民を増やすことは容易いことではないが観光地としての魅力は廃れさせてはいけない。日帰り観光客から魅力を実感、拡散してもらい土地としての魅力やポテンシャルを改めて理解し、伝え続けると同時に住民の生活の質の向上と一人一人が誇りを持てるように計画を提案する。この空間から鳴子温泉郷全域に人の流れを繋げ、各地域の活気が高まることでこれまで続いてきた歴史ある街並みや風景を守り続けると共に昔のような賑わいのあるまちを取り戻したい。

1. 鳴子温泉郷の地域分布

2. 源泉体験施設の提案場所

3. 計画施設イメージパース