建築?環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

佐竹麻央|山形市中心市街地での無人販売の可能性-人手不足の打開とまちの再生-
山形県出身
吉田朗ゼミ

 私が20年以上を過ごしてきた山形市。そしてその商業の中心として栄えてきた中心市街地。私が幼いころは大沼デパートを中心に毎日多くの人でにぎわい、活気ある町であった。しかし、イオンモールなどの大型ショッピングモールの郊外進出等による郊外地域の開発、それに伴うクルマ社会の加速で、来客人口、居住人口がどんどん郊外へ流れてしまい、中心市街地の多くの店が撤退を余儀なくされた。中でも大打撃となったのが大沼デパートの自己破産による閉店である。この先も商店街の中心として七日町を支えていく存在であり続けると考えていたが、このような時代の流れ、皇冠体育官网による影響には抗えず閉店することとなってしまった。そんな中山形市では、街中居住を推進すべく「山形市中心市街地活性化基本計画」を制定し、皇冠体育官网5年現在までに2棟のタワーマンションが建設された。そのうちデュオヒルズ七日町タワーは商住一体施設として建設され、中心市街地を商住一体の町として再開発が行われている。
 また、皇冠体育官网5年5月から皇冠体育官网感染症が5類感染症の位置づけに変更され、再び飲食、小売などの需要が高まり人の流れが活性化している中、人手不足で対応しきれていないという問題が全国的に嘆かれている。
 皇冠体育官网によるパンデミックを契機に無人販売が注目を浴びた。非接触型販売という点で注目を浴びたが、現在の人手不足という問題に対しても有効であることや、人件費が最低限まで抑えられること、広い敷地を要しないなど低コストで運営できる点から商品を安く販売できることから、現在のアフターコロナの流れの中でも出店が増加している。デパートというメイン商業施設を失ったものの、商住一体地域として再始動し始めた中心市街地の現状と、人手不足という問題を抱えた世の現状を、この無人販売という新たな要素によって、山形市中心市街地を再び賑わいを見せる町へ再起させたいという思いからこの研究テーマとした。
 よって本研究の目的は、無人販売のポテンシャルと現状、利用する人々の目的や意識、ニーズを明らかにし、対象地でどのように展開し、運営すべきかを提案することである。