建築?環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

[最優秀賞]
大槻凜花|建築物における豊かさの正体
宮城県出身
竹内昌義ゼミ

人が動物らしく暮らせる豊かさを求めて建築を見つめ直した。「機能性」と「自由」という正反対の性質を一つの建築に落とし込んだ時、人はもっと自由に暮らせるのではないか。その考えから「道」と「建築」を大胆に絡ませ、機能性で完結しない建築を設計した。


竹内昌義 教授 評
建築は建築家によって作られるある意図を持った空間である。それを構築するには独自のロジックが必要だ。しかし、社会にある多くの建物は論理的ではなく、必要な「機能」に流行りのファサードや経済的な制約から選ばれる表層を纏うことだけで作られることが多いように思う。さて、大槻さんは建築の空間で人に幸福を与えることができる空間のことを「豊かな空間」と呼び、自分の論理から実践された空間を作ることを考えた。最初はどこから手をつけたら良いか分からず、まるで野球の100本ノックのように100の空間の模型を作り、豊かさについて自問し続けた。同時にさまざまな建築家が考えた建築論に触れ、それを相対化しながら、自らのロジックを組み立てていく。機能と機能を接続する空間に意味を見出し、機能=モダニズムを超え、揺らぎのある空間を作ることが豊かな空間の実践であると説く。思考を実践する敷地には都市と地方を選び、密度やスケールの違いを条件としながら空間を実践していった。そのプロセス自体のプレゼンテーションが圧倒的で良かった。