映像学科Department of Film and Media

[優秀賞]
丹野肇|未知ノ器
宮城県出身
岩井天志ゼミ
レジン、塗料、ステンレス、真鍮

人々が魅入られ、想像してきた怪物や神性を、知らない、理解できない未知を解釈して認識するための依代と定義し、その象徴性を形にした作品群。


岩井天志 教授 評
丹野くんは突出した才能を持っている。その一つに卓越した観察眼がある。通常、人はものを視る時、「目に映った部分」を情報として脳に送り像として認識する。しかし丹野くんの物の見方は「目に映らない部分(物体の裏側や内部)」を同時にイメージし、その構造を脳にインプットする。見たものをその構造も含め立体として捉えることが出来るというわけである。そのイメージが鉛筆を持つ手へと伝わり紙の上に描かれるのであるが、その描写力が極めて高い。高校の行き帰りの電車の中でスケッチやクロッキーをひたすらやっていたという。その時間の蓄積が彼の描く力を高めていったのだろう。大学に入りZBrush(デジタル彫刻の3DCGソフト)と出会い、彼の才能は更に開花した。立体で像を捉える目と描写力、そこにイマジネーションが加わり美しい創造物(クリーチャー)を次々と創っていった。オリジナリティ溢れるデザイン、造形力、ディテールと質感へのこだわりによって生み出された作品たちは様々な賞を受賞し、プロデビューを果たした。卒業制作では立体造形作品として展示することに拘り、出力や着色の技術も高めていった。是非、細部までじっくりご覧いただきたい。今後アートとして作品を深められるか、そして世界から評価を得られるか、楽しみにしている。丹野くんがどこまでビッグになるか!その活躍を期待したい。