企画構想学科を卒業した山田望未(やまだ?のぞみ)さんは現在、株式会社楽天野球団のチケット部?動員企画グループに所属。東北楽天ゴールデンイーグルスが実施する集客イベントの企画運営を担当しています。入社2年目でありながらすでに大きなプロジェクトを任されるなど、その才能を存分に発揮している山田さん。働く場として“東北”や“野球”を選んだ理由、そして最も大切にしているという楽天イーグルスファンへの想いについてお話を伺いました。
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誰かの一日を“特別”にする仕事
――はじめに現在のお仕事内容について教えてください
山田:『楽天モバイル 最強パーク宮城』を満員のお客様にするため、集客イベントの企画運営をしています。2025シーズンの業務で言うと、ユニフォームなどの来場者プレゼントやファン感謝祭、宮城県内の小中学生を招待してスタジアムの職場体験していただく「弟子入り体験?職場体験」などに携わりました。
夏には「夏スタ! VIVID SUMMER」というテーマのもと1ヶ月間イベントを開催したのですが、このイベントにはリーダーという形で関わらせてもらいました。お客様に夏の色鮮やかさをお届け出来るようなカラフルな装飾、刺激的な場内演出などを企画したり、最終日にはフィナーレとして約12分のドローンショーを実施しました。それがこれまでの仕事の中でも特に印象に残っています。
600機のドローンを飛ばすのはプロ野球過去最大規模かつ球団としても初の試みだったので、調整ごともすごく多かったですね。例えば行政への許可取りだったり、保安距離の問題、あとはドローンショー自体のデザイン?演出?構成など、どうやったらファンの方々に喜んでもらえるかを考えながら半年かけてやってきました。
そして当日、1個1個ドローンが上がるたびにすごいどよめきというか歓声があがって、目の前でそういう生の反応を見聞き出来たことにすごく感動しました。長い時間をかけて用意してきたものを実施出来て、それをお客様に喜んでもらえるというところにやっぱり一番やりがいを感じますね。
山田さんが企画したドローンショーの様子(東北楽天ゴールデンイーグルス 公式YouTubeチャンネルより)
ちなみに私はスタジアムの隣にある陸上競技場でずっと準備をしていたので、テイクオフの瞬間までそこで見守っていました。でもショーの様子は絶対に見たかったので、ドローンが飛び立った後に急いで外に回って、何とかスタジアムに一番近いところで見ることが出来ました(笑)
――そういったイベントのお仕事をされる上で、いつも大切にしていることはありますか?
山田:私たちからすると毎日開催しているイベントでも、お客様によっては「今日初めて来た」とか「遠くからこのためだけに来た」とか、時には楽しみにしていたのに雨天中止になってしまって泣いてるお子さんがいたり―。そんなお客様一人一人にとって特別な一日になるよう、常に意識しながら仕事に向かっています。
まだ2年目なので分からないことも多いですし、イベントの形式も多岐にわたるので毎回準備や調整の仕方が違って「難しいな」と思う瞬間もありますが、分からないところは先輩方に教えていただきながら日々やっています。
――楽天イーグルスで働きたいと思ったきっかけは?
山田:もともとは「関東のエンタメ業界で働きたい」とぼんやり思っていたんですが、大学の企画構想学科では東北の方々と触れ合いながらイベントを行う機会が多く、次第に「東北に影響を与えられる仕事がしたい」と考えるようになりました。
あとは私自身野球が好きで小?中9年間やっていたんですけど、当時はまだ女子野球の出来る高校が東北の外にしかなくて。検討はしましたが、やっぱり東北にとどまりたいという思いから野球を辞める選択をしました。そんな私を気遣ってくれたのか、それからは両親がよく楽天イーグルスの試合に連れていってくれるようになって―。
そうして楽天イーグルスのファンになったことも、この仕事に就くきっかけになっています。あとは、大学時代にここで2年間インターンに参加して、今の仕事と同じようなイベント企画の体験をさせてもらったことも大きいですね。
そうやって好きな楽天イーグルスのために仕事が出来ていること、そしてファンの方々に喜んでもらうために働けていることがこの仕事の魅力だと思います。
まちと人に触れながら育まれたアイデア
――大学時代の取り組みで特に印象に残っているものを教えてください
山田:3年生の時にゼミで『おがるシェイク』というジェラートの商品開発をしたことが印象に残っています。チームを組んで、プロジェクトのリーダーとして自分たちで一から商品を考えつくっていけたことがすごく楽しくて。
新しい知識もたくさん得られましたし、開発した商品の販路開拓のため「山形の企業さんに売り込みに行く」という経験も出来ました。最終的にはネットショップとスーパーの一部店舗で実際に販売されて、そのプロジェクトをやり切ったことで自分に自信がつきました。
それから卒業制作が自分の中で結構大きくて。町おこしみたいなことに挑戦したんですけど、周りの人をたくさん巻き込みながらやった企画だったので今も仕事に活きている感じがします。私の地元?宮城県大和町には『島田飴まつり』という伝統的なお祭りがあって、その飴を食べると良縁に恵まれると伝えられていることから毎年すごい数の人が集まってくるんですね。
そこから着想を得て、縁結びの町として広げていこうと『ななつもり恋つもるプロジェクト』という大和町の認知度拡大をテーマにした企画を考えました。
大和町の店舗さんなどにご協力いただいて、アクセサリーを大体15箇所ぐらいに置いてもらって、それをゲットしたら縁結びスポットに結びつけに行くというちょっと複雑な企画ではあったんですけど、たくさんの人、そして町にも協力してもらってやり切ることが出来ました。
――そういった経験から得られた、今の仕事につながる力は?
山田:私は話すのがもともとすごく苦手だったんですけど、企画構想学科に入るとプレゼンテーションの機会が多くあるんですね。例えば外部のビジネスコンテストのようなものがあったり、あとは先ほど話したように開発商品の売り込み営業に行ったり。
そういったところから自分の言葉で魅力を伝えて目標を達成していくということに自信がついて、「提案するのって楽しいな」と思えるようになりました。大学に入って最初の自己紹介とか本当に嫌だったんですけどね(笑)。とにかく場数を踏め、って感じで鍛えられました。
――山田さんは企画構想学科の卒業生の中でも、当時の学科の学びをそのまま活かせる職業に就いていると感じます。それでも大学時代の企画と今の仕事で違う部分はありますか?
山田:大学時代は「これが出来たら楽しいよね」という企画をたくさん考えていましたが、全てが実現するわけではありませんでした。でも球団に入った今は、企画は最終的に必ず実現させなければいけません。「これなら絶対に人を呼べる」っていう確実なものを選ばないといけないですし、進めていく上で大変な場面もたくさんあります。企画の出口までちゃんと考えないといけなくなったというか、むしろ出口(=成果)が一番大事というところが大きな違いですかね。
山田:でも、企画を考えるプロセスでは変わらない部分があります。学生時代同様、千本ノックじゃないですけどとにかくいっぱい案を出すようにしていて、その中から優先順位をつけて提案するようにしています。なので日常生活の中からずっとアイデア探しをしていますし、トレンドをずっと把握しておきたいなっていうのは常に思っています。
趣味の一環でもあるんですけど、SNSを毎日見るとか、旅行先でも意識しながらものを見るとか。むしろ趣味の延長で気づくこともたくさんある気がします。
山形に住んでいた学生時代も、山寺とかに行くのが好きでした。山寺にある大きな木が好きで、学生時代はそれを見によく電車で行ってましたし、電車に乗ること自体も楽しかったですね。もちろん、楽天イーグルスの試合も山形から高速バスに乗って観に行ったりしてました。
――これから先に向けて思い描いているものがあれば教えてください
山田:今は目の前の仕事で精一杯ですが、楽天イーグルスのブランディングもやってみたいですね。東北の各県で試合を開催しているんですけど、宮城に限らずその県の方々がたくさん来てくださったり、オフシーズンには“ろっけんファンフェスタ”というイベントが各県であって、応募してくださる方がたくさんいらっしゃいます。
そういう時に、普段来てくださっているファンの方々がいかに遠くから通われているかを実感しますし、より全国に東北を発信していけるようなチームになったらいいなと思っているので、ぜひブランディングに挑戦してみたいです。
――それでは受験生に向けてメッセージをお願いします
山田:芸工大には好きなことをたくさんさせてもらえる環境があるので、自分の好きなことに挑戦しながら将来について決めていけるといいのではないかな、と思います。
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大学時代は、実現に至らないまでも「これが出来たら楽しい」という目線で企画を考えていたという山田さんの話を聞いて、同席していた先輩社員さんが次のようにおっしゃっていたのが印象的でした。「会社が成長していくためには自由で突飛なアイデアも必要なので、新しく入ってきた人には最初は大きいことを考えて欲しいという風に思っています。そういった意味でも、企画運営を大学で経験しているってすごくいいなと思いました。一度大きい企画を出してもらった上で、それを全員の力で実現出来るようまとめていけば良いですから」。大学でのプロジェクトやプレゼンテーション経験が現在の企画力と実行力の基盤となり、入社2年目にして無事プロ野球過去最大規模のドローンショーを成功させた山田さん。今日もファンへの思いを胸に、先輩方に支えられながら日々の仕事と向き合っています。
(撮影:布施果歩、取材:渡辺志織、入試課?加藤)
東北芸術工科大学 広報担当
TEL:023-627-2246(内線 2246)
E-mail:public@aga.tuad.ac.jp
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